2018年日本  1羽に与えられるスペースは22センチ×22センチ程度
2018年日本  1羽に与えられるスペースは22センチ×22センチ程度

 

現代の畜産業では、一つの建物に過密状態でたくさんの動物を飼育する「工場型」が一般的です。

卵生産では工場化が特に顕著で、一つの農場で数万から数十万羽の鶏を金網に閉じ込める「バタリーケージ」が主流です。

 

バタリーケージは諸外国では動物福祉の観点から禁止が進んでいますが、日本では92%以上*の養鶏場がケージを使用している状況です。(国際鶏卵委員会「IEC」の2020年データでは94.1%がケージ飼育*。しかし実際の市場における平飼い卵の割合は1%程度と言われており**、実際のケージ割合はもっと高い可能性がある。)

 

効率を優先したバタリーケージの中で、鶏たちは苦しみ、絶望の中で短い一生を耐えています。

 

今の工場型畜産では、動物たちは感受性のある生き物としてではなく、モノのような扱いになってしまっているという実態があります。特に「物価の優等生」と言われ1960年代からその価格の変わらない卵については、その安さの裏で鶏たちが大きな負担を強いられています。

 

狭い金網に閉じ込め、鶏からすべての自由をうばうケージ飼育を、国内でもなくしていきたいと私たちは考えています。

 

わたしたちは次の働きかけをおこないます。

 

  • 卵を販売するスーパーマーケットなどに対して、ケージ飼育された鶏卵の販売を廃止し、平飼い・放牧卵へ移行することを提案します。
  • 卵の消費量を減らすとともに、ケージ飼育の卵を買わない、動物福祉に価値を認める社会にするために、消費者への啓発を行います。
  • 国レベルでの取組(法規制・畜産動物福祉への補助制度など)を求め、行政への働きかけを行います。

 

EUではバタリーケージ飼育は禁止されていますが、ケージの中に巣などを設置した「エンリッチ(改良型)」ケージ改良型ケージの詳細はコチラをご覧ください)は禁止になっていません。しかしエンリッチであってもケージには変わりないため、EUではケージ飼育そのものが廃止に向かっており、2020年には市場の52%がケージフリーの卵になっています

アメリカでは8つの州がケージ飼育の禁止を決定しました。

さらに、国の規制よりも企業によるケージフリーの動きは目覚ましく、世界中で1000以上の大手企業が、ケージフリーを宣言しています。(海外の状況の詳細はコチラをご覧ください)。 

 

諸外国でのこういった背景には、いくら値段が安くてもケージ卵を買いたくないと意思表示をする消費者がいます。

 

残念ながら日本には、畜産動物に関する実効性のある法規制がなく、実質どのような飼育も可能だというのが現状です。消費者の関心も低く、国際レベルで「アニマルウェルフェア(動物福祉)」への取り組みが進んでいる中、 日本では「アニマルウェルフェア」という言葉を知っている消費者は4%に過ぎません。

このような状況が、日本の畜産動物の飼育環境を過酷なものにしてしまっています。

 

私達は日本の現状を変えるために活動を行います。

 

ケージの中に巣を設置したり、一羽当たりの飼育面積を広くした「改良型ケージ(エンリッチドケージ)」を導入しようという動きもありますが、改良型でもケージはケージです。「バタリーケージの卵を食べたくない!キャンペーン」では改良型ケージ飼育を含めたケージ飼育そのものの廃止を目指します。

 

* 92%以上という数字は、2014年飼養実態アンケート調査報告書 から算出したもので採卵鶏農家の戸数の割合。94.1%は農林水産省のアニマルウェルフェアに関する意見交換会資料に記載されていたもので、採卵鶏の羽数の割合。

** 北方ジャーナル 2021年02月号「脱ケージは世界の潮流だ」